「移籍の噂」vol.20(特別コラム) ~老貴婦人の補強戦略に物申す!~

サッカーを専門に扱うイタリアの大手メディア「Calciomercato」から、カルチョファンが興味を引きそうなニュースをpick upするコーナー「移籍の噂」。

大変長らくお待たせしました、今回は特別編としてユベンティーノ、かつ”Soccity”というサッカーブログを運営しているイタリア人サッカージャーナリストのDavid Baleno氏による今シーズンのユベントスの補強戦略について分析した記事を掲載、是非ご覧あれ!!!


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image@www.gazzetta.it


1月の移籍市場も折り返しに差し掛かっている。

ユベントスのジュゼッペ・"ベッペ"・マロッタGMは大きく方針転換しているようだ。ここ3年間彼をはじめとするフロントの堅実な補強戦略は見事に嵌っていたように感じてていたが、今シーズンはそれまでの補強戦略と一線を画している。

今シーズン開幕前にMFポール・ポグバ(23)が退団、PSGからMFブレーズ・マチュイディ(29)の獲得が失敗に終わり、更にゼニトのMFアクセル・トマ・ヴィツェル(28)は夏の移籍市場閉鎖ギリギリでクラブ間交渉が破談になった上、ユベントスへの加入を望んでいた本人がこの冬にファビオ・カンナバーロの待つ中国1部天津権健への移籍を決断。これによって中盤のクオリティは著しく低下し、マッシミリアーノ・アッレグリ監督は限られた戦力でのやり繰りを強いられている。


今夏ローマからやって来たMFミラレム・ピャニッチ(26)は精度の高いパスやポジショニング能力などによって違いを生み出し、中盤のクオリティを補うことができると期待していた。しかしMFクラウディオ・マルキージオ(30)が約半年ぶりに左膝前十字靭帯から復帰した今でも、個人能力による局面打開力を兼ね備えていたヴィダルやポグバの穴を埋め切れていない印象だ。

MFエルナネス(31)は安定感に欠け、MFマリオ・レミナ(23)はアフリカ・ネーションズ・カップで1か月ほど離脱する。今のチームに必要としている中盤の選手をこの冬の移籍市場で見つけることに苦戦しているマロッタGMの姿はより明確に見てとれる。

ジェノアからMFトーマス・リンコン(28)を獲得したことによってマロッタGMに向けられている懐疑的な目線を一時的に反らすことはできる。ただ、それは彼自身が”中盤で抱える根本的な問題”を解決するのではなく、むしろその問題から目を背けているようにも感じる。

PSGのマトゥイディ、そしてゼニトから中国へ行ったヴィツェルの獲得失敗を踏まえると、結果論ではあるが未だに今シーズン開幕前MFロベルト・ペレイラ(26)のワトフォードへの売却は決して最良の決断ではなかったように感じる。



image@www.corrieredellosport.it


その一方で、最終ラインの選手層に厚みを持たせる補強戦略ではここまでほぼ抜け目がない。

DFメディ・ベナティア(29)はレミナと同様ANCによるチームからの離脱を強いられ、SBダニエウ・アウヴェス(33)とSBアレックス・サンドロ(25)は怪我で離脱中だ。更にSBパトリス・エヴラ(34)はこの冬での退団が現実味を帯びつつある。そのため3年間コンテ監督のもとでLWBのポジションでスタメンをはっていたMFクワドォー・アサモア(28)が当面サンドロの穴を埋める形でLSBやLWBで起用されている。そのアサモアはANCでのガーナ代表を辞退して1月もチームに残っており、クラブへの忠誠心を示した形だ。

またボスニア人のSBセアド・コラシナツ(23)をシャルケから獲得する噂がここ最近になって挙がっており、エヴラのこの冬でのイングランド帰還の可能性が高くなっている。


この冬ここまでの若手への先行投資は順調だ。セリエAの将来有望株であるCBマッティア・カルダーラ(21)をアタランタから来シーズン終了後に移籍金1500万ユーロ+出来高ボーナスで獲得することで合意(正式には来シーズン終了までアタランタへレンタル)、更にアスコリ・ピッキオからWGリッカルド・オルソリーニ(19)を移籍金550万ユーロ+ボーナス450万ユーロでの獲得が決定的だ(あとはサインを待つのみ、こちらも今シーズン終了までアスコリへレンタル)。


image@www.tuttosport.com

 

新加入の選手について質問される時、クラブ幹部は決まって「(国内外のタイトルを獲得できるだけの)スカッド(メンバー)を揃えるために獲得した」と答える。しかし、今シーズン開幕前の移籍市場で獲得したダニエウ・アウヴェス、ベナティア、ピャニッチ、そしてゴンザロ・イグアインはここまでチームに大きく貢献しているとは決して言えないだろう。1月の移籍市場が閉まるまでにチームの現状、そしてチームのクオリティを高めるための補強戦略を問いただす必要がある。


確かに1月の移籍市場では大半の大物選手は移籍しない。しかし、昨年の8月の移籍市場でポグバやヴィダルのような個人能力による局面打開力の穴を埋めきれない状態でスカッド(メンバー)を揃えたのも事実だ。移籍市場閉鎖まで残り2週間のフロントの動きによってチャンピオンズリーグでの結果が左右されると言ってもおかしくない。9000万ユーロという大金をつぎ込んでイグアインを獲得したように、中盤のクオリティを高める大物選手を高額な移籍金で獲得することを厭わないだろう。


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