SerieA 第12節 Napoli vs Lazio ~大きな「賭け」によって掴んだ敵地での勝ち点1~


Lazio、早くも今シーズンの「台風の目」になると感じているファンも少なくないはずだ。

SerieA 第11節終了時点で6勝2敗3分、勝ち点18、上々の滑り出しだ。


今シーズンのLazioはワラセ、ムルジャ、ロンバルディなど積極的な若手起用(第1~10節までのスタメン平均年齢が24歳とSerieA全チーム中2番目に若い)が目立つ。中でも1st GKであるマルケッティの離脱中にストラコシャが代役を務めて結果を出したのは大きなサプライズだ。その一方で前線はケイタ、フェリペ・アンデルソン、インモービレで固定し、コンスタントに得点を挙げていることが安定した戦いにつながっている(インモービレはカルチョの世界に帰還して見事復活)。その若手起用と安定した戦いを両立させてチームに充実感を与えているのはシモーネ・インザーギだ。プリマヴェーラで2年指揮した経験から、彼は4-4-2や4-3-3など4バックをベースにした戦術を披露している。


そんなLazioにとって今シーズンの第一関門とも言えるゲームが敵地サンパオロに乗り込んでの第12節 vs Napoli戦。最終ラインの要であるデフライが離脱中であるとはいえ、3センターの一角にルーカス・ビリアが復帰したのは朗報だ。


この試合前に1つ驚いたことがある。


4バックをベースにしているシモーネ・インザーギがなんとこの大一番で3バックを選択してきたのだ。しかもCB3枚のうち2枚はバスタとラドゥ、SBが本職の2人をCBで起用するという「大きな賭け」に出たのである。この選択が果たしてどのような結果をもたらしたのか…?




その答えは試合開始から15分間に及ぶオープンな展開が徐々に戦術面の駆け引きに移行するタイミングで垣間見えてきた。


-------------------------------------------------


・Napoliの攻撃面における到達点


LazioのCB間のスペース」の攻略


本職がSBであるバスタ、ラドゥをサイドにおびき寄せていかにバスタとワラセ、ラドゥとワラセの間にスペースを作るのか、そしてそのスペースからいかに決定機を作るかという点に大きなポイントがあった。実際に52分のハムシクの先制ゴールシーンもバスタがサイドに流れて最終ライン手前(中盤の底を務めていたルーカス・ビリアの脇)にできたスペースでハムシクがボールを受けたことによるものだ。



・攻撃の起点となった左サイド

今シーズンのNapoliはビルドアップの起点を左サイドにおくケースが多く、LSB グラムとLWG インシーニェによる縦の関係性が鍵を握っている。この試合ではインシーニェが中に絞ってメルテンスとの距離感を縮めてバスタとワラセの間にできるスペースの突破を試みる、スペースからミドルシュートを放つ場面が多く見られた。また対峙するLazioの右CB バスタが守備時に中途半端なポジショニングをとっていたこともあってグラムがサイドの裏のスペースを突破してクロスを上げる場面もあった。



・パローロの起用法

Napoliの左サイドを起点とした攻撃に対して、右インサイドハーフで起用されていたパローロがポジションを下げてルーカス・ビリアと共にCB間のスペースの手前でフィルター役として機能していた。インシーニェやメルテンスのドリブル突破の芽を摘んだという意味でこの「右インサイドハーフでのパローロ起用」がインザーギの一番の狙いであったことは間違いない(スタメン紹介の画像では左インサイドになっているが試合ではミリンコビッチ・サビッチとポジションを入れ替えていた)。そう思うとルーカス・ビリアのコンディションが良かったことも守備面で大きな貢献となったことも見逃してはいけない。



・バスタのポジショニング

一方で先述したようにバスタのポジショニングが中途半端だったことから一気に裏のスペースをとられて決定機に繋がる場面も多かった。それもフェリペ・アンデルソンの守備面における貢献度が少ないことからNapoliとしては左サイドで数的優位を作りやすい状況にあったことが背景にある。この点に関しては後半からフェリペ・アンデルソンが少し低めのポジションをとって攻撃参加する頻度を減らしたことによって修正された。


-------------------------------------------------


戦術面でのポイントを挙げてみたが、バイタルエリアにおける守備組織が徹底されていたことがアウェーで勝ち点1を掴んだ最も大きな要因だと感じた。Napoliもインシーニェやメルテンスがドリブル突破できずに攻めあぐねている時間帯に(36分)逆サイドからジェリンスキがCB間のスペースを突破し、マイナス気味のクロスを入れたりして目先を変えようとしていた。ただ今回のように起点になっている左サイドでの攻撃で対策されると打開に手こずる現状が浮き彫りとなり、そういう意味で周りを生かすプレーが持ち味のミリクの不在は痛い。ガッビアディーニの去就も含めて今冬のメルカートでの獲得候補に注目だ。






 



T's calcio channel

主にSerieAの試合の分析を行います! 日本の大手サイトでは報道されないようなメルカート情報もお届けします。 Juventusに関するコラムはユベントスジャーナル(http://calcio-sportivo.com/)に投稿していますのでそちらをご覧ください。

0コメント

  • 1000 / 1000