ジェノバダービー(続編) ~Inter戦で見せた「Fighting Spirit」~


「あのジェノバダービーの勝利で何もかも変わった、ここから順位を上げていきたい。」


試合後にそう語ったのはこの試合トレカルティスタ(10番のポジション)でフル出場し、チームの勝利に大きく貢献したブルーノフェルナンデスだ。前節midweek開催のvs Juventus戦ではターンオーバーを実施したこともあって1-4と惨敗、そしてダービー以来再びスタディオ・ルイジ・フェラーリスで迎えたSerieA 第11節のvs Inter戦。

この日のスタディオ・ルイジ・フェラーリスはバックスタンドを中心に空席が目立ったものの、ゴール裏はダービーに匹敵するほどの熱狂的な雰囲気に包まれていた。もしかしたらイカルディ、エデル、パラシオなど元Sampdoria、Genoaの選手に対する反応かもしれない。

ピッチに立ったSampdoriaのイレブンは90分を通じてInter相手に互角のパフォーマンスを披露した、ジェノバダービーと違って試合内容で手応えを掴んだように感じた。


その試合内容の具体的なポイントを挙げてみると、


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 1、中盤でのボールホルダーに対する寄せの速さ

 とにかくInterの3センター(ジョアンマリオ、バネガ、ブロゾビッチ)を自由にさせなかった。ビルドアップ時にInterの最終ラインから縦パスが入る際にSampdoriaの中盤の誰か1人(主にリネッティやバレート)によるプレッシングが素早かったため、Interは中盤3枚のところでボールを奪われたり、縦パスを供給できずに最終ラインに戻してビルドアップをやり直すケースが多く、サイド攻撃やイカルディ、エデルによる個人技による突破に限定される時間帯が続いた。

  

 2、中盤と前線が連動した攻撃パターン

 ジェノバダービーも含めてこれまでの試合の得点パターンは2トップの出来(ムリエル、クラリアレッラ)に大きく依存している印象だった。しかしこの試合では1でも述べたようにInterのビルドアップ時の素早いプレッシングでボール奪取したらブルーノフェルナンデスを含めた前線3枚に素早く繋げるという守備の局面から中盤と連動した攻撃の形が多く見られた。またInterの3センターがバイタルエリアのフィルター役として機能しなかったこともあって、ビルドアップ時はリネッティやバレートがInterの3センターの手前のスペースで最終ラインからの縦パスをワンタッチでさばいてサイドに散らしたり、一気にCBの脇やSBの裏のスペースを狙う縦パスを供給していた。今思えば、前半43分のゴールシーンもシュクリニアルの縦パスに反応したバレートがワンタッチでバイタルエリアで構えていたブルーノフェルナンデスに供給したところから生まれたものだ。

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1,2で長々とポイントを説明したが、この素早いプレッシングや連動した攻撃を85分くらいまで同じ強度でこなせたことがこの試合の最大のポイントである(インテンシティの高さ)。


ではその「インテンシティの高さ」はどこに宿っていたものなのか・・・

それこそ、ジェノバダービーでの勝利によって搔き立てられた「Fighting Spirit」である。

冒頭で紹介したブルーノフェルナンデスのコメントが示している通りだ。ピッチ上で勝利に対する強い気持ちを持ち続けたことが「プレッシングの持続」という形になって表れたと解釈できる。



ダービーでの勝利はここまでチームを大きく変えることができるだけの力を持っていると実感。

この勝利で完全に長いトンネルから抜け出したことをしっかりとサポーターに示せたSampdoria。底は見えたのでここからは順位表上で駆け上がっていくしかない、今後の躍進に期待したいものだ。


※写真はSampdoria公式Twitter (https://twitter.com/sampdoria)より引用


  

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